計量をスムーズに行うための施策
振動機という部品は付着性や堆積性の高い粉を計量する場合に使用します。
付着や堆積の程度が大きいと、計量装置内でラットホール現状やブリッジ現象が発生します。
これらの問題を解決する施策部品の1つが振動機です。
粉末の性状と計量状態を加味して、計量機の適切な箇所に設置します。
振動機の使用事例
排出ノズル振動機 ソレノイド式
供給機からの粉末排出口となるノズルの真横に設置されているのが排出ノズル振動機です。
この振動機は計量中に粉末が容器へ投入される際に、ノズルを叩いて振動させます。 (ノズルに垂直に当たるように、水平方向へ前後するように動きます。)
これにより、粉末の投入をよりスムーズに行うことができます。
口径の狭い容器への計量や特異な性質の粉末の計量に特に有効です。
容器振動機 回転式
計量容器の真下からその容器をたたいて振動させるために設置されているのが容器振動機です。
粉末が計量容器へ投入される際や計量完了時などに稼働させ、容器を直接振動させて粉末の投入を スムーズにします。
振動のタイミングや回数などの細かい設定もタッチパネル上で容易に行うことができます。
かさ比重の大きい粉末(ふんわりと盛り上がるように堆積する粉末)の計量に特に有効です。※かさ比重の大きい粉末を投入するときの様子(下記説明)をご参照下さい。
容器振動の効果~粉末の容器投入時の様子~
かさ比重の大きい(ふんわりと盛り上がるように堆積する)粉末は、容器へ投入すると右側図①のようになります。
かき氷のように容器の上に盛り上がってしまい、
容器内に納まりにくく、
急に堆積した部分が崩れて容器外へ漏れるなどの状態にもなります。
容器部に装着した振動機は、
振動によって容器内の空気を抜くことにより、
盛り上がってしまう粉末を徐々に容器内へと納めていく働きをします。
→右側図②参照
図①
図②
振動機の設置箇所
振動機の設置箇所は主に以下の3か所です。
計量装置の下部に付けるものから順に紹介します。装置の構成は主に下部から天びん、容器台、容器、排出部、ホッパー部となっています。
計量した粉末の投入先の容器部
上記振動機は容器台を叩いて揺らし、その上に乗っている容器の底を振動させます。
供給機から粉末が出される排出部
上記振動機は排出部を叩いて揺らし、粉末が排出部に堆積・付着しにくくしています。
計量に使用する粉末を貯蔵しておくホッパー部
上記振動機はホッパー部を叩いて揺らし、粉末がホッパー部堆積・付着しにくくしています。
振動方法
振動機の動き方と効果
振動機には動きによって種類(振動使用機種)があります。アルファでは主に以下の3種類を使用します。
振動使用機種 | 動き | 動作効果 |
ノック式 | 振動機の一部が地面と水平に前後運動する | 動作部分がつつくような動きをして、粉末の付着・堆積箇所を殴打する |
回転ピストン式 | 振動機の回転が置換され、一部が水平に前後運動する | 前後運動部がつつくような動きをして、粉末の付着・堆積箇所を殴打する |
振動モーター式 | 振動機全体が震える | 粉末の付着・堆積箇所に接触して振動させる |
振動のさせ方(タイミングと設定できる動き)
振動機を使用する際は予め決められた7つの振動方法パターンを選んで、稼働内容の詳細を設定します。
7つの振動方法パターンは以下の通りです。
振動方法パターン(振動種) | 概要 |
開始時振動 | 計量開始時のみ、指定した繰り返し回数・ステップ段階・重量%のいずれかの項目達成数値まで振動する |
加速時振動 | スクレッパーの回転速度を加速させたときに稼働を開始し、指定した回数振動する |
ステップ連動振動 | ステップ段階が変更されたときに稼働を開始し、指定した回数振動する |
計量完了時振動 | 計量完了後、判定結果表示時に稼働を開始し、指定した回数振動する |
重量%振動 | 計量中の排出量が設定計量値の指定した割合(%)に到達した時点で稼働を開始し、指定した回数振動する |
完了目前振動 | 計量作業の終盤(シャッター位置がP3とP4のとき)に稼働を開始し、計量完了まで振動する |
一定間隔振動 | 計量中に常時一定間隔で振動する |
上記の振動方法パターンは全ての振動機に適応するものではありません。使用する振動機の設置箇所によって決まっています。
振動機の設置箇所と設定可能な振動方法パターンは以下の通りです。
振動機の設置箇所 | 設定可能な振動方法パターン(振動種) |
容器部 | 開始時振動 |
計量完了時振動 | |
重量%振動 | |
排出部 | 一定間隔振動 |
完了目前振動 | |
ホッパー部 | 開始時振動 |
ステップ連動振動 | |
加速時振動 |
振動方法パターンと効果
振動方法パターンごとに得られる効果と使用をおすすめする計量条件が異なります。
振動機の設置箇所と使用効果・推奨計量条件は以下の通りです。
振動方法パターン(振動種) | 振動機の設置箇所 | 効果 | 推奨計量条件 |
開始時振動 | ホッパー部 | 大供給時(計量作業序盤)のホッパー部内での詰まり防止 | 流動性の悪い粉を使用する場合 |
容器部 | 容器内の粉末の山ならし | 容器堆積目一杯までを充填時 | |
加速時振動 | ホッパー部 | 排出に時間がかかっているときの排出部への補充スピード促進 | 粉末と粉末の間の空気が抜けすぎない(しまりが発生しない)粉の使用時 |
ステップ連動振動 | ホッパー部 | ホッパー部内での詰まり防止 | 粉末と粉末の間の空気が抜けすぎない(しまりが発生しない)粉の使用時 |
排出部への補充スピード促進 | |||
計量完了時振動 | 容器部 | 容器内の粉末の山ならしと付着落とし | 計量完了時に容器内に山を作りたくない場合 |
付着性の高い粉を使用する場合 | |||
重量%振動 | 容器部 | 容器内の粉末の山ならし | 容器堆積目一杯までを充填時 |
完了目前振動 | 排出部 | 微量供給時(計量作業終盤)の排出部からの固まり粉末落下の抑制 | 力を加えると固まりやすい粉の使用時 |
排出ノズルやシュートの付着落とし | |||
一定間隔振動 | 排出部 | 排出ノズルへの付着防止 | 付着性の高い粉を使用する場合 |