偏析(へんせき)とは
偏析(へんせき)とは、均一に混合された状態の粉体が、取り扱いの工程において粒子の性質の違いによって分離し、「偏り」が生じる現象のことです。
主に、粉体どうしの「粒の大きさ(粒子径)」「重さ(比重)」「形状」の差が大きいほど発生しやすくなります。
例えば、大きさの異なる粉体を混ぜて山状に堆積させた際、大きい粒子が外側に転がり落ち、小さい粒子が中心部に留まるといったことが起こります。
また、どれだけ均一に混ぜ合わせた粉体であっても、投入・貯槽・排出・搬送といった工程において、偏析はどの時点でも起こり得る現象です。
偏析は一度発生すると製品の成分ムラや品質のばらつき、充填重量の不安定化など、重大な品質不良に直結するため、複合粉体を取り扱う際には特に注意すべき特性と言えます。
偏析のメカニズム
偏析の種類
偏析は、粉体の動きや現場の状況によって異なる原因で発生します。
発生メカニズムとパターンは以下の四つです。
転がり偏析
粉体を容器やホッパーに投入して「山」ができる際に発生します。
粒子径が大きいものや球状の粒子は山のふもと(外側)へ転がり落ちやすく、細かい粒子やいびつな形状の粒子は山の中心部に留まるため、中心と外側で分離 します。
飛散偏析(流動偏析)
細かい粒子と粗い粒子が混ざった粉体を落下させた際に発生します。
微粉体は空気の抵抗を受けて空中に長く浮遊するため、粗い粒子が先に落下・堆積し、その上にゆっくりと微粉体が沈降することで、上下で分離 します。
貫入偏析(ふるい分け偏析)
粉体の層が動く際や、容器に振動が加わった際に発生します。
大きい粒子の隙間を縫って細かい粒子が下部へと入り込んで沈んでいくため、粗い粒子が上に残り、上下で分離します。
振動偏析
ホッパーや配管などに継続的な振動が加わった際に発生します。
比重の重い粒子が下に沈み、軽い粒子や大きい粒子が上へと浮き上がるため、上下で分離 します。
偏析リスクの測定方法
偏析の発生しやすさは以下の方法で測定することができます。
① 堆積法
安息角・転がり偏析による測定
② 振動法
振動偏析・貫入偏析の測定
③ 流動化法
飛散偏析の測定
偏析の発生リスクへの対策
機械的な対策
- 落差を小さくする(転がりを抑制する)
粉体を投入する際の落下高さを設備設計の段階でできるだけ低く抑え、粉が大きく山状に堆積して転がり落ちる距離を最小限にします。 - 邪魔板を設置する(強制的に分散させる)
ホッパーや容器への投入時に、粉が一点に集中して落ちないよう、内部に邪魔板などを設けて粉を分散させ、均等に堆積させる構造にします。
制御的な対策
- 粉体残量の自動制御(落下高さを最小限に保つ)
粉面センサーを用いて、ホッパー内の粉体量が常に一定の範囲内に収まるよう、プログラム上で自動補充のタイミングを制御します。粉が極端に減る前にこまめに補充することで、投入時の落下高さを最小限にキープし、「転がり偏析」を防ぎます。また、粉の自重(圧力)を一定に保つことで、排出時のムラも抑えられます。 - パルス動作による排出制御(排出時の偏析を防ぐ)
ホッパー下部のバルブやフィーダーの稼働をプログラム上で「短時間動かしては止める」を繰り返す間欠運転に設定します。連続で排出し続けると発生しやすい偏析のメカニズムを意図的に断ち切り、粉体全体が均等に崩れ落ちるように促すことで、排出時の偏析を抑制します。




